2025年、本年もどうぞよろしくお願いします。
今年もグリーフケアカフェをみなさまの癒しと安らぎの場に、そして、安心安全にお過ごしいただける場として、真心を込めてご準備してまいります。

遅ばせながら…
12月28日のグリーフケア夜カフェにご参加されたみなさま、大切なお話をお聞かせいただきまして、ほんとうにありがとうございました。

今回ご参加いただいた方々は、みなさんこれまでにも何度かカフェにお越しくださっており、いらした会は違えども、不思議と互いに引き寄せられているようなご縁を感じる会でした。

そんな昨年最後のグリーフケアカフェ、そして昨年一年を振り返って、今回は少し長くなりますが3つのお話をさせていただきます。

まずは1つめです。
昨年は会場の抽選が外れ、予約が取れない月が続いたこともあり、普段はお昼に開催していたグリーフケアカフェを「夜カフェ」と名前を変え、18時から開催させていただく月がございました。

グリーフには、「記念日反応」というものがあり、
今は亡き大切な方との想い入れのある月が近づくと、
心が揺れ、体調を崩しやすくすることがあります。
11月、12月…と、心が不安定になりやすい方がおられる中で「どうにか開催できないものか」と悩み、考えついたのが「グリーフケア夜カフェ」でした。

記念日反応の表れる月にも「必ず行ける場所がある」
ということを心の支えとされている方がいらっしゃる…
そうしたことを想うと、毎月開催することにとても重要性を感じています。

また、お夕飯と重なる時間帯での開催となった為、
カレーライスをご提供させていただいたりと、
色々と試行錯誤しながらの年でした。

私自身が以前、大切な人を失い深い哀しみの中にいた時、仕事が手につかなくなり、心身ともに疲れきって退職し、実家に戻り療養していたのですが、その頃に学生時代アルバイトをしていた近所の地中海料理店で、リハビリがてら下働きをさせていただいた経験があります。

もともと料理は好きでしたが、喜んでもらえる人がいて、初めて料理を作る楽しさが生まれるもので…
一人になると、その喜びも、作る気力すらも失い、
毎日ほとんど飲まず食わすの日々が続いていました。

そんな時、かつてアルバイトをしていた店の前を通りかかり、そこの料理長のことを思い出したのです。
家族を失い、わずか16歳で日本を離れ、海外で下働きをしながら料理の腕を磨き、日本に戻って地中海料理店を開店された料理長。

複雑な過程環境で育ってきた私は、高校時代にその料理長の生き様に勇気をもらい、憧れてその店のアルバイトを始めました。
そんな高校時代を思い出し、気がつくとお店に足が向いていて、久しぶりにお店の門を開いていました。
懐かしい料理長の笑顔を見るなりその場で「下働きをさせてほしい」と願い出て、翌日から働くことになったのです。

慣れない仕事に戸惑いながらも、料理長のそばで次第に私は料理を作る喜びを思い出していきました。
それを機に食品衛生責任者の資格を取得したわけですが…
その反面、看護の仕事への情熱や想いも消えることはありませんでした。「いつか私も料理長のように、患者さんやご家族のそばで、私にしか出来ないことをしていきたい」と思い、現場に戻ることを決意したのです。

あれから15年以上が経ちました。
私は今緩和ケア病棟で働きながら、先逝かれた方に託されたご家族さまへの想いを胸に、グリーフケアサロンを運営しています。

昨年末はその経験を活かし、
夕食つきの「夜カフェ」を開催する運びとなりました。
あの時の経験が今となって、こんな風に活かしていけることになるとは、私自身想像もしていませんでした。
大切な人、大切なものを失い、これまでの生活が崩れ落ちてしまったあの頃…
ただ苦しくて、何の価値もないと感じながら生きてきた時間、もがきながら何とか生きてきた日々…
その全てが報われたように、愛おしく感じるほどに、
あの頃の自分が今、力となっています。
それを感じさせていただいた一年でした。

そんな一年を思い出す度に想います。
私は過去に2度も料理長に救っていただいたことーー。
料理の腕を磨きに行ったつもりが、砥石のように、
心を磨く時間をいただいていたのだということを。
今も感謝しかありません。

そんな想いがいっぱい詰まった夜カフェの献立
「カレーライス」です。

年末年始というのは、仲間たちとお酒を交わしたり、
家族団欒の時間、親戚一同が集まって、
おせちを囲んで賑やかな時間となるものですが、
そうした時期こそ私は想います。

誰かに何かを作ってもらえていることの幸せ、
誰かのとなりに居て一緒に食べることの喜び、
「美味しい」と感じる理由ーー。

私たちは大切な人を失ったとき、
初めて気づかされるのかもしれません。

12月の夜カフェは9名でテーブルを囲みました。
カレーライスをお持ちした途端、
目に涙を溜めておられる方もいらっしゃいました。

「手作りのものを誰かと一緒に食べることが久しぶりです」とおっしゃり、カレーを口に運ばれ、
ゆっくり味わっていらっしゃるお姿を見たとき、
私たちが想っていた以上に「夜カフェ」は、
大切な時間なのだと気づかされました。
人と人とが互いの存在に心を温める時間。
他にはないそんな時間が、夜カフェにはあります。
今後も引き続き開催していく予定でおります。

2つ目のお話です。
12月のグリーフケアカフェにつきまして、実は
もう1つご紹介させていただきたいことがあります。

以前に、これまでも何度かカフェに通ってくださっている方から「絵本の読み語りをやりたい」とのご連絡をいただきまして、今回は2回目の読み語りをしていただきました。

とても心のこもった温かい読み語りで、
毎回涙を流されていらっしゃる方をお見かけします。

これはビブリオセラピーというもので、
読み手も聞き手も、読みものから気づきを得たり、
心の癒しや安らぎを感じられるものになります。

またグリーフを抱えておられた方が、「自分とよく似た体験をされた方々の為に、何か力になりたい」と思い行動されることは、私たちがこの活動をする上で、最も大切にしている中の一つ、再生への兆しでもあり、非常に重要なものです。

グリーフケアカフェを始めて早3年目になるのですが、昨年末からこれまでカフェにお越しになられた方々のお気持ちにも少しずつ変化が現れてきました。

再生と希望に向かってもう一歩踏み出し始めた方が、
何人も現れはじめたのです。

ある方は、ご自身の喪失体験を施設でお話され、
「この先来るであろう大切な人とのお別れにどう向き合うか」ご自身の体験、そしてグリーフケアカフェとの出会いについてもお話されたとお聞きしています。

ある方は、病院勤務をされていらっしゃるのですが、
「グリーフについてもっと多くの方に知ってほしい」と思われ、「病院で使用するリーフレットを作ろうと思うけどどう思う?」とご相談にいらしてくださいました。

ある方は、ここに通われるようになり、
自分のやるべきことが明確になられたそうです。
介護の現場で働かれており、ご自身の職場でグリーフの講義をされるとお聞きしました。
またヤングケアラーの子どもたちのグリーフケアに取り組む道を見つけられ、今後本格的に活動されていかれるそうです。

ある男性は、グリーフケアカフェのお手伝いをさせてほしいとおっしゃいました。

ある女性は、年末に私たちにお手紙を書いてくださいました。そこには私たちが彼女にかけた言葉と共に「私も妹にしてあげられなかった分、人の役に立つ仕事がしたいという夢ができました」と書かれていました。近々会社を立ち上げる準備を始めていることも。

ある方はご主人を亡くされ、深い哀しみの中にいましたが、「これからは自分の為に生きてみようと思う。これまではずっと彼が主役だったから。そろそろ自分のために生きていいと言われているのかもしれない。よく耐えてきた、頑張ってきたなって、彼も褒めてくれるだろうし、きっと彼はそんな私を望んでいるから」と。
今年最後のカフェでもまた一人、自分の人生に向かって歩き出された方がいらっしゃいました。

そこまで愛すること、生きることを教えてくださったご主人はどんなに素敵な方なのか…と、羨ましくも感じ、そんなご主人を想像せずにいられない気持ちになりました。

きっとご主人は「そうだよ。この素敵な女性が僕の自慢の奥さんだよ」と言って微笑み、太陽のような温かいエールで彼女を包み込んでいるに違いない。
そんなご主人の、彼女への深い愛情を、彼女の姿を通して感じさせていただきました。

今ご紹介させていただいた方々は全て、
大切な方を亡くされ、哀しみの中でグリーフケアサロンに辿り着き、長い時を重ね、何度も想いを分かち合ってきた方々の、今のお姿です。

私たちの提唱するグリーフケアは、
寄り添いと分かち合いを非常に大切にしていますが、
ただ哀しみの中で共に在ることで終わるのではなく、
今は亡き大切な方々の想いを繋ぐ場でもあります。

大切なご家族を置いて、自分が先に逝かなければならないことを悟られたたくさんの患者さまたちが、
「残していく家族をよろしくお願いします」と、
願っていかれたことを、私たちはこの先もきっと、
忘れることはないと思います。

その願いが、哀しみの中にいる方々を導びき、
この場所に連れて来られているのだと思うのです。
私たちのやるべきことというのは、先逝かれた方々の代弁、想いを繋ぐものでなくてはなりません。
それが私たちがこのグリーフケアカフェを始めた理由ですから。

さて、長くなりましたがこれで最後です。
2025年、今年のグリーフケアサロンのお話をさせていただきます。

能登半島地震からちょうど1年が経ち、
時は流れていきますが、被災地での活動をしていますと、あの日大切な人を亡くされた方々の哀しみは今も続いていることを感じます。
私たちの活動はそうした方々がほんとうの意味で復興していくまで、哀しみの向こう側に行くときまで、共に在り続けることではないかと思っています。

先ほども申しましたが、グリーフケアサロン町田を開始してから、3年目に入っているわけですが、やはりグリーフケアカフェのような心の内を安心して話せる場所、思いを分かち合える場所、というのは本当に大切だと感じています。
昨年は、多くの方にご参加いただきましたが、まだまだグリーフという言葉も世の中に広がっていない現状があり、グリーフケアの場を必要とされている方々に届けられていないこと対して、もどかしく感じる日々です。

また、このサロンを立ち上げた当初から「一人でも多くの哀しみを抱える方の力になりたい」という想いと共に、「グリーフを抱える方々に寄り添って力になれる仲間をもっと生み出したい。共に手を携えていきたい」という想いもあり、グリーフケア講座(5回シリーズ)を昨年5月から開始しました。

また、グリーフケアカフェにご参加いただいた方々から「グリーフケアについて学びたい」「自分の身近にいるグリーフを抱えている人に寄り添えるようになりたい」「いつか自分のグリーフケアの会を開きたい」といったお言葉をいただいたことも、大きな後押しになりました。

これまでグリーフケア講座、
全5回シリーズの第1回~4回が終了しました。
前回の第4回では、病気や障がいをお持ちの方々や、
その方を支えるご家族、支援者のグリーフ、そしてグリーフケアの具体的な関わりについてお話させていただきました。

《講座No.4にご参加いただいた方からのご感想》
他のところで学んでいるグリーフケアでは「理論と人間的な基礎となる部分しか教えません」と宣言しているのですが、それも大切なことだとは思いますが、では実際どうしたらいいの?という部分はわからないまま終わってしまいそうで…でも、その足りない部分をこの講座で補ってもらっていると思っています。医療職でないとなかなか患者さんのご家族や患者さんご本人とお話をする機会がありませんが、実際の現場でのお話を聞かせていただくと具体的なやり取りの中から自分が気づかなかったことや知らなかったことがたくさん出てきて、短い時間の中にギュギュっと大切なことが詰まっている時間だと思っています。今回もありがとうございました。また来月の講座も楽しみにしています。

とても有難いご感想をいただきました。
「病気や障がいをお持ちの方に対する認識がガラリと変わった」というお言葉もいただくことがあるのですが、何も特別なことをお話しているとは思っておりません。講座の中でもお伝えしておりますが、必要な知識や情報というのはそんなに多くはありません。大切な部分はシンプルで本質的なものかと思います。また理論的なことだけではなく、事実を元にした関わり方や事例もご紹介させていただいているので、実践していただいたり、現場で応用していただければ嬉しく思います。

さて、次回はいよいよグリーフケア講座No.5
ラストになります。

2025年1月25日(土)13:30〜16:30
今回のテーマは、
“「自分自身との向き合い方」と「再生へ」”となります。

深い哀しみを抱えておられた方が、グリーフケアカフェに参加したりすることで、自分の心の内を話すことができたり、他の人の話を聞く中で何かしらの気づきや発見が得られたり、大切な亡き人との繋がりを感じられたりする中で、少しずつ哀しみがやわらいでいったり、再生に向かって進んでいかれる過程があります。
その過程の中で、これからどのようにして残された人生を歩んでいくのか、自分はほんとうはどうしたいんだろうか、というような「自分と向き合う」ということを深く考えるタイミングが出てくると思います。
そのときの一助となるような、日ごろから実践できる手法であったり、セルフ的にできるワーク、自分との向き合い方をいくつかご紹介させていただきたいと思います。

ご自身がグリーフを抱えているとき、支援者としてグリーフを抱えた方に関わるときに、ご活用いただけますと幸いです。
「再生への道」が拓けてくるために少しでもお役に立てるよう、5回シリーズ最後の講座をさせていただきます。

初めて講座に参加する方も大歓迎ですので、
是非ご参加をお待ちしております🍀
お申込みフォームはこちら:
https://forms.gle/UFzuPnpYy5v78dG5A

また、2025年はいくつかの新たな取り組みを開始していきます。
詳しくは、近いうちにあらためてご案内させていただきますが、一人でも多くの方の力になれるよう、活動を広げていきたいと考えています。

グリーフケアカフェや講座にご参加いただいたお一人お一人とのご縁に感謝し、2025年も私たちにできることを精一杯やらせていただきたいと思います。

本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

Grief care salon MACHIDA
(グリーフケアサロン町田)
https://griefcare-machida.crayonsite.info/

Grief care salon SETAGAYA
(グリーフケアサロン世田谷)
https://griefcare-setagatya.crayonsite.com/

共同代表
元原 佳紀、元原 泉

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