グリーフケアカフェには、様々なグリーフを抱えた方が来られます。
今日はシングルマザーのお母さんのお話です。
世の中には、大切なパートナーを亡くされたり、
様々な理由で離別することになり、
女で一つ、お子さんを育てておられる女性は少なくありません。
うちも早くに父が亡くなり、母はシングルマザーになりました。
毎日、家事と子育て、仕事に追われる日々ー。
憧れの美容部員の職についたけれど、家族を養うために仕事を転職。
力仕事をいくつもかけ持ちして、私を育ててくれた母でした。
小さなお子さんがいる場合、子どもが週に一度や二度熱を出して、
会社を早退することも少なくありません。
そんな、あるシングルマザーのお母さんのお話です。
子どもの体調を理由に会社を早退する日が続き、
上司から「どれだけ迷惑をかけたら気が済むんだ」と、
怒鳴られてしまったと言います。
肩を落としてうちに帰ると、洗濯物が山のようにたまっていて、
必死に片付けたみたいですが、
その間ずっと子どもが泣いていたんだそうです。
そんな子どもをみて、急に涙が込み上げてきたといいます。
「子どもは何も悪くないとわかっていながらも、
苛立ちを覚えて、手を挙げてしまいそうになった」
とおっしゃっていました。
「そんな自分がとても憎くて情けないです。私はダメな母親です」
そう言われたのですね。
このような思いを感じたことのあるお母さんは、
少なくないかもしれません。
子どもをありのままに抱きとめていくのは、
ほんとうは女性にとって、何よりの幸せです。
ですが世の中には、様々なご事情で、
お子さんを抱きしめられないお母さん、
抱きしめてもらえないお子さんもいらっしゃり、
どちらも苦しんでいるのです。
「お母さんはわたしのこと好き?」
以前、お子さんを抱きしめられないお母さんが、
お子さんから言われた言葉です。
そんなお母さんが、お子さんを抱きしめられるようになっていくには、
お母さんも、ご自身の過去の哀しみに向き合っていく過程が必要です。
そう、グリーフケアです。
そうした場合、実はお母さんも、
グリーフを抱えておられる方が多くいらっしゃるのですね。
お母さんにとって子どもは、自分の一部、または分身ともいわれるほど、まるで合わせ鏡のような存在です。
そんな存在に、向き合えば向き合うほど、お母さんたちは、
自分自身とも向き合わざるを得ない機会に直面します。
『愛し方がわからない』ことに不安になり
『自信がない自分』に臆病になり
『子どもを許せない』ことに哀しみ
『わかってもらえない』苛立ちに苦しみ
愛したいのに、うまく愛してあげられないことに、
ご自分を責めてしまわれるお母さんも多くいらっしゃいます。
だけれど…
子を宿し、生まれてきた子どもが0歳ならば、
お母さんもまた、母親になりたてホヤホヤの0歳。
母親だって、子どもと一緒に成長していくものではないでしょうか。
完璧なお母さんからはじまる人はいません。
完璧を求める子どももいません。
ただそばで、悲しいときも、嬉しいときも、
自分のために笑って、泣いてくれるのが、
お子さんにとって、何よりも愛おしい母親なのです。
きっとお母さん自信も、
子どもの頃、そうだったのではないでしょうか。
愛の反対は、無関心といいますね。
今、お子さんとの日々で、
たくさんの葛藤を抱えておられるお母さんたちは、
無関心ではありません。
愛しているからこそ、無関心でいられない。
愛しているからこそ、苦しいんです。
心の深く、自分自身に素直に問いかけてみてください。
(どうしてイライラするの?)
言うことを聞いてくれないから。
(どうして言うことを聞いてほしいの?)
わかってほしいから。
(どうしてわかってほしいの?)
自分もわかってほしかったから。大切にしてほしかったから。
(どうして大切にしてほしいの?)
愛されたいから。
(どうして子どもに愛されたいの?)
だって愛しているから。
そんな風に自分の心に、素直に問いかけて答えを見つけてみると、
自分自身のほんとうの心の声が、聞こえてくるかもしれません。
そして、日々子どもと向き合い、葛藤しながら、
様々なグリーフを抱えているお母さんたちが、
ようやく胸の中に子どもを抱きとめられたとき、
それはきっと、子どもたちを通して、
悩み苦しみを抱えてきたお母さんたちの心まで、
救われていく時間なのかもしれません。
未熟で至らないと思う自分自身をも受け入れて、
抱きしめてあげられるようになるということ。
お母さんたちは、お子さんを通して、
真の幸せというものを手にすることが出来るのです。
幸せというものは、一瞬・一時のものではなく、
一生をかけて味わっていくものです。
様々な感情を通して、様々な経験を通して、
親は子がどれほど愛おしく尊い存在であるか、
子は親がどれほど大切な存在であるのか、
一生をかけて、味わっていくものです。
ですから、焦らなくても大丈夫。
お腹に宿した瞬間に、もうお母さんなのです。
誰が何と言おうと、たとえ子がそう言わなくとも、
お子さんが『あなた』という母親を選び、
その胎から生まれてきたことに、間違いはないのですから。
ある詩をご紹介したいと思います。
ニュージーランドの子育て支援施設に貼ってあった
作者がわからない詩をご紹介します。
すべてのお母さんたちへ
心からの敬意を込めてー。
『今日』
わたしはお皿を洗わなかった
ベッドはぐちゃぐちゃ
浸けといたおむつは
だんだんくさくなってきた
きのうこぼした食べかすが
床の上からわたしを見ている
窓ガラスはよごれすぎてアートみたい
雨が降るまでこのままだとおもう
人に見られたら なんていわれるか
ひどいねえとか だらしないとか
今日一日、何をしてたの? とか
わたしは この子が眠るまで
おっぱいをやっていた
わたしは この子が泣きやむまで
ずっとだっこしていた
わたしは この子とかくれんぼした
わたしは この子のためにおもちゃを鳴らした
それはきゅうっと鳴った
わたしは ぶらんこをゆすり
歌をうたった
わたしは この子に
していいこととわるいことを 教えた
ほんとにいったい
一日何をしていたのかな
たいしたことはしなかったね
たぶん、それはほんと
でもこう考えれば いいんじゃない?
今日一日 わたしは 澄んだ目をした
髪のふわふわな この子のために
すごく大切なことを していたんだって
そしてもし そっちのほうがほんとなら
わたしは ちゃーんとやったわけだ。
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#子育ての悩み #子どもの愛し方